にこ📚

人生は物語。

大人になってからも成長…「私をくいとめて」

開き直ったつもりでも、心の奥では割り切れていないことがある。例えば恋だったり、例えば親友だったり。

 

割り切ろうとしているのは、自分の身を守るため。

 

大人になっても(20歳を超えても)自分を成長させるには自分の身を守る殻を捨てなければいけないのかもしれない。

けれど、それができたら楽しいはず。

 

そんな、大人になってからの成長を感じたのが、綿矢りささん原作の映画、私をくいとめてです。

(近いうちに原作も読ませてもらいます!)

 

 

私をくとめては、おひとりさまを満喫する主人公が恋を通しておひとりさまから一歩進んでいく物語です。

 

Aの存在

主人公みつ子が常に会話している相談相手「A」。Aは常に完璧なアドバイスをして、みつ子を傷つくことから守っている存在です。

みつ子の理性、のように私は感じました。客観的に、俯瞰的に物事を見て、今何をすればみつ子は傷つかずに済むのか、その時最善の行動を促します。

 

しかし、ただ理性というだけでなく、みつ子の一番の理解者です。みつ子が心の奥で思っていることをみつ子以上に分かっています。

 

つまり、Aとは何なのか、と言われると、Aはみつ子がより幸せに、そしてより素直に生きるアドバイスをしていることから、「みつ子ー(マイナス)余計な心配や忖度、遠慮なのではないかと思うのです。

 

素直になるということは案外難しく、そのせいで自分の感情に向き合うことができません。それはみつ子だけでなく、私たちみんな、そうなのではないでしょうか。

みつ子の生活は、はたから見ればQOLの高い生活、楽しそう、なのですが、みつ子目線で見れば心の奥底にはフタをして生きているともいえるのです。

 

”おひとりさま”の正体は、何かに対する諦めや無視なのかも…。

 

素直になれないすべての人に、Aはいるのかもしれません。

また、Aの消失は、みつ子が自分で自分から素直になれるようになったということを表しているのではないかと思いました。

 

 

過去と向き合う

恋をしたみつ子には、今の自分を形作っている過去と向きあう必要がありました。

 

前の恋、遠くへ行ってしまった友、だから1対1で付き合うことが怖くなってしまった今。

そんな過去の全てと向き合って、素直になってはじめて人に応えることができる。

 

自分の本当の心や素直に人と向き合うには、過去と決着をつける必要があるのだと、大切なことに気づくことができました。

 

(それから、親友との再会で、あまちゃんだ!と個人的にテンションがあがりました)

 

完璧な人間はいない

ありきたりな言葉ですが、完璧な人間なんていない、それがよく分かる映画だったように思います。

 

Aといつもしゃべっているみつ子、服装がヤバすぎるイケメン、その変人イケメンに恋する恋敵なしの先輩、不器用でもいい部分だけを見せようとしてボロがでる多田くん…

 

完璧じゃなくても誰かひとりには愛され、愛すことができる、それが今じゃなくても。

 

温かい気持ちになることができる素敵な作品でした。