にこ📚

人生は物語。

爆笑必至ながら、自分らしい生き方について考えさせられるドラマ

何でも自由にさせてもらえるご身分、何でも自由に選べる時代…

でありながらも、実際は世間体、今までの道のりを気にして自由には選べない。

心の底から笑い転げることができ、かつ「本当の自分」について考えさせられるドラマを紹介します。

 

The Marvelous Mrs. Maisel!!

舞台は1950年代のニューヨーク。

主人公ミリアムはアッパーウエストサイドのお金持ち。広すぎるマンションやお手伝いさんがいる状況からもその様子が分かる。

そんなミリアムの父は大学教授で、夫も大きめ(?)の会社勤め。

 

…贅沢&おしゃれ倒して終わりそうな設定ですが、いやいやそんなことは全くなくて、シーズン1の第1話からそれは覆されます。

詳しくは観て欲しいのですが、注目ポイントをご紹介します。

※ちなみに、次シーズンが最終になります。

 

 

世間体、親の言いなり、したたかさ

ミリアムは大学を卒業し、頭もよく美人でお金持ち、夫婦仲も良好という「勝ち組」のような人生を歩んでいます。が、毎日あらゆる体の部位のサイズ(ウエスト、太もも、足首とか)をノートに記録、娘のおでこの広さを心配する母親、ご近所さんとの静かなるマウンティング、などなど、窮屈そうな描写が目立ちます。

 

それは、1950年代アメリカでの女性の立ち位置を強く表しているように感じます。

1950年代は戦争の終結により既婚女性の就労率が下がった時代であり、ウーマンリブが起こるのも1960年代後半です。

このような時代背景からも、「女性は良き妻になるために外見を磨き、教養をつけるのだ」という価値観が当たり前だったということが想像できます。

 

結婚し子どもが2人いて美人、料理も上手で社交的なミリアムは魅力的であり、本人も幸せを感じているでしょうが、どこか、「幸せマニュアル」に従って本当の自分に気づいていないように見えたのです。

 

才能に目覚めた瞬間

そして、ミリアムは自分のコメディアンとしての才能に気づきどんどん開花していきます。きっかけは夫の浮気だったけれど、学生時代から周囲から一目置かれていた話のうまさとユーモアを発揮すべく起きた事件とも思える天才っぷりです。

 

きっかけは何であれ、一番自分らしい、自分にしかできない道を見つけたミリアムは以前よりもっと楽しそうに見えます。

 

ここで思うのは、自分らしい道は必ずしも思い描いていた通りではないし、もしかすると簡単には開花できない世界かもしれないということです。周囲からの目も最初は厳しいかもしれない。だから、道を進むには、稼ぎへのこだわりや、世間体を捨てなければならない瞬間が来る。そして、成果が出て初めて、やっと先が見えてくるものなのかもしれません。

 

まして、この時代で女性がコメディアンだなんて珍しいと思いますが、すべての逆風をユーモアで跳ね返してしまうミリアムはまさに天才としか言えません。

 

選べないと思っている人は、初めから排除している選択肢に自分にしかできないことがあるのかもしれません。

 

周りの目からの解放 娘を起点に変わっていく家族

ミリアムは周りの目から自分を解放し、自分らしくコメディアンを続け様々な舞台に登壇していきます。

はじめは嫌がっていた家族も、そんなミリアムを見て変わっていくのです。

 

母親は自分をもっと大切にしなければいけないことに気づき、父親も心からわくわくして取り組める仕事を見つけていく。幸せは必ずしも裕福という条件のもとにあるわけではないとみんな気づいていきます。

 

それともう一つ、家族の変化で嬉しかった点があります。

今まで父親の荷物の場所や予定をすべて把握し、夫を支えるよき妻として居続けていましたが、次第に「自分でやって」「私は知らないわ」といった態度に変わっていきます。はじめは父親は戸惑い、「うちが壊れた」と嘆きますが、適応しようと少しずつ努力している姿を見ることができた点です。

 

もちろん完全に変わったわけではないですが、時代の変化とともに、こうして女性の地位も少しずつ上がり、男性もそのことを受け入れるようになってきたのだ、と感動しました。

 

やはりなんといってもミリアムの舞台

ミリアムの変化や家族の変化など感動する点はたくさんありますが、なんといっても一番はミリアムのコメディアンとしての舞台です。

 

超早口の英語で語り倒すシーンは例え英語が分からなくても笑ってしまうこと間違いなしです。一話に一回は入るこのシーン。ユーモアのある英語を話せるようになりたい人はミリアムを真似てみたらいいかもしれません(笑)

 

さいごに

このドラマには当時のアメリカ社会や女性の活躍、そして現代にも共通する自分らしい生き方についての課題がちりばめられているように感じます。

 

何が自分らしさを妨げているのか、は分かりませんが、ミリアムのように勇気をもってリスクをとる道を選ぶことで拓けるのかもしれないと思いました。

 

人々が憧れるような美しさ、すべて壊して始める強さ、そして最後にはすべてかっさらっていく笑いが詰まっているからこそ、このドラマは評価されるのだなと思います。